近年、映画の世界でもフィルムからデジタルへの移行が急速に進んでいる。劣化せず、公開プリントもクリアでシャープな映像を維持、配給コストも安上がりだ。「アポカリプト」「ゾーディアック」と、デジタル撮影作品が増えるにつれて問題点が顕在化してきた。データは劣化しなくても、それを記録したデジタル・マスターが短期間で劣化していく可能性があるのだ。ストレージ(保管)の方法はいくつかあるが、果たしてそれらが十数年後に使えるのかわからない。数年ごとにデータを移し替える必要があるし、それには費用がかかる。一つの方法は仕上げ工程に活用されるデジタル・インターミディエートから三色式分離ネガに移すことだが、これはデジタル映画を昔風のフィルムに移すことを意味している。