2007年5月に開催された第60回カンヌ国際映画祭で、候補作22作の中から河瀬直美監督の日仏合作「殯(もがり)の森」が最高賞パルム・ドールに次ぐグランプリに選出された。日本人では1990年の小栗康平監督の「死の棘」以来、17年ぶりとなる。河瀬監督はデビュー作「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を最年少の27歳で受賞し、以後、奈良を拠点に映画製作を続けていた。「殯の森」は4作目にあたり、奈良県北部の山里を舞台に、妻の死を受け止められない認知症の男性と子供を亡くした介護士との交流を描いた作品。また07年のベネチア国際映画祭では、北野武監督の「監督・ばんざい!」にちなんで新設された、今後も作品を生み出す可能性のある人に贈る賞という位置づけの、監督・ばんざい!賞を、北野武監督が受賞した。