「殯(もがり)の森」(2007年)の河瀬直美を筆頭に、30代半ばの女性監督が台頭してきている。2006年に公開された日本映画417本中、女性監督の作品は20本以上を占めた。河瀬直美監督のデビュー作「萌の朱雀」が公開された1997年は4本、05年は10本であったから、着実に増加している。鮮やかな色彩で人気を集めている写真家・蜷川実花は吉原の花魁(おいらん)を主人公にした「さくらん」(07年)で、写真同様に極彩色の蜷川ワールドを現出。また西川美和は「ゆれる」(06年)で毎日映画コンクール日本映画大賞を受賞し、上々の興行成績をあげた。ほかにも「めがね」(07年)の荻上直子、「酒井家のしあわせ」(06年)の呉美保、「恋するマドリ」(07年)の大九明子と女性監督の作品が目立つ。ビデオ撮影が増え、映画学校に学ぶ女性が増えたこともある。コンスタントに高い水準の作品を作り続けられるかが、今後の課題といえよう。