モダンな感覚の作品を作り続けた市川崑監督が2008年2月13日に肺炎のために死去。92歳。1915年11月20日に三重県で生まれ、JOスタジオ（東宝の前身）でアニメーターとなり、36年のアニメーション「新説カチカチ山」で監督デビュー。56年の「ビルマの竪琴」で知られるようになり、以後、ひとひねりしたストーリーやせりふ、しゃれた映像を織り込んだ斬新なコメディーやメロドラマ、「炎上」「鍵」「細雪」といった文芸映画を撮った。ミステリー好きで、アガサ・クリスティーをもじった久里子亭の名（妻の脚本家和田夏十も参加）で脚本を執筆したこともある。65年の記録映画「東京オリンピック」は河野一郎オリンピック担当国務大臣（当時）の「記録性に欠ける」発言をきっかけに「芸術か、記録か」と論議をよんだ。テレビシリーズ「木枯し紋次郎」やCMでも優れた作品を残し、76年の「犬神家の一族」を皮切りに金田一耕助シリーズを全部で7本手がけ、興行的にもヒットさせた。くわえ煙草のヘビースモーカーとしても知られていた。