アメリカ映画2008年の映画観客は13億6400万人で前年比2.6%の減となったが、平均入場料金が7ドル18セントで4.4%値上げとなったことから興行収入(→「配収/興収」)は97億9100万ドルと前年より1.7%増えた。公開本数は610本。映画スクリーン数は4万194で0.3%増(うちデジタルスクリーンは5474)。09年の興行収入トップ3は「トランスフォーマー2」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」「カールじいさんの空飛ぶ家」の順。5位に食い込んだ「ニュームーン/トワイライト・サーガ」は予想を大幅に上回る2億7000万ドルを超え、無名に近い俳優、新人俳優、外国出身の俳優の出演した映画が当たる最近の傾向を実証した。反対に大スターをそろえた作品の集客力が低下し、ジム・キャリーが出演した「Disney'sクリスマス・キャロル」、ブルース・ウィリス主演の「サロゲート」、ジュリア・ロバーツ主演の「デュプリシティ~スパイは、スパイに嘘をつく~」は苦戦を強いられた。アート系の不振が目立ち、WB(ワーナーブラザース)、パラマウントはアート系部門を閉鎖し、ディズニーもアート系を扱うミラマックスを縮小。著名な監督にスターが出演する“セレブ・アート映画”以外はなかなか企画が通らなくなっている。「私の中のあなた」もキャメロン・ディアスが作りたいと言い出したおかげで企画が通った。また「プラダを着た悪魔 」「セックス・アンド・ザ・シティ」「マンマ・ミーア」「ジュリー&ジュリア」のように女性観客を集めた作品のヒットで、女性映画への期待が高まっている。さらにアフリカ系アメリカ人を視野に入れた作品も増え、ディズニーは09年の「プリンセスと魔法のキス」で初めてアフリカ系女性を主役にしたアニメを製作した。