2009年は世界的な不況の影響が映画界にも及び、映画会社の倒産、再編が相次いでいる。「ブロークバック・ マウンテン」を配給したワイズポリシー、「ミリオンダラー・ベイビー」を配給したムービーアイ・エンタテインメントが倒産。10年1月には、韓国映画「シュリ」(1999年)を配給、「フラガール」(2006年)を製作したシネカノンが47億300万円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請。また多数の作品を手がけてきたギャガ・コミュニケーションズは06年10月からUSENの子会社となっていたが、70億円の負債を抱えて映画の買い付けを停止。配給に特化するために独立し、09年9月にギャガ株式会社と改称した。ハリウッド各社でも組織再編が大幅に行われ、09年秋にユニヴァーサルとディズニーの首脳陣が一新され、WB(ワーナーブラザース)はケーブルTV部門および経営不振でお荷物だったAOLを分離。同年12月には、フランス通信会社ヴィヴェンディが保有していたNBCユニヴァーサル(テレビ局とハリウッド・メジャーの連合体)の20%の株を、筆頭株主GEが買収し、ケーブルテレビ最大手のコムサットと合弁会社を設立。コムキャストとNBCユニヴァーサルを合わせた08年の売り上げは500億ドルを超え、地上波とケーブルTVの合併で、世界最大の複合メディア企業が誕生することになった。1930年代にはハリウッド・メジャーの筆頭だったMGMも2009年に公開したのは1本だけ。経営状態が悪化して、37億ドルの負債を抱えて、売却先を探している。同社は4000本のフィルム・ライブラリーを所有しているが古い作品が多い。買い手としてWB、ニューズ(フォックスの親会社)、ライオンズゲートなどの名が挙がっている。