ホラーとはもともと肉体の反応を伴った強烈な恐怖を意味しており、ホラー映画はあの手この手で観客に恐怖感をいだかせようとする。本格的なホラー映画は1931年の「魔人ドラキュラ」から始まり、モンスターと人間の闘争が中心だった。60年代に入ると「サイコ」(60年)のようにサイコ・ホラーとよばれる異常心理に重点をおいたものや、「エクソシスト」(73年)のような魔術、悪霊などを中心にしたオカルト映画(occult movie)が増え、80年代に入ると「13日の金曜日」(80年)、「エルム街の悪夢」(84年)など、流血場面や残酷な場面を特殊メーキャップ技術を駆使して、グロテスクなまでに生々しく描く作品が流行。これらはスプラッター映画(splatter movie)あるいはスラッシャー映画(slasher movie)と呼ばれ、シリーズ化されるケースが多く、21世紀に入るとますます過激さを増している。