2003年に「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞を得たマイケル・ムーアは受賞スピーチでブッシュ大統領を非難して、拍手とブーイングを受けた。そのムーアの「華氏911」(04年)がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。00年の大統領選でのフロリダ州の選挙結果に疑問を投げ、01年9月11日の同時多発テロに関して、石油事業を通じてブッシュ家とビンラディンを含むサウジの富豪との癒着を突く。こうした内容からアメリカでは論議を呼び、マスコミでも賛否両論。配給契約を結んでいたディズニーは配給を拒否し、ライオンズ・ゲートが取得してドキュメンタリーとしては史上最大の2011館で公開され、興収1億1919万771ドルをあげるヒット作となった。ムーアはその後、医療保険をテーマにした「シッコ」(07年)、資本主義をテーマにした「キャピタリズム マネーは踊る」(09年)と、社会問題をセンセーショナルに取り上げたドキュメンタリーを撮り続けている。