ミニシアターの激戦区だった東京・渋谷区で、ヒューマントラストシネマ文化村通り(旧シネ・アミューズ 2009年10月閉館)、シネマライズ渋谷(10年7月閉館)、恵比寿ガーデンシネマ(11年1月閉館)、シネセゾン渋谷(11年2月閉館)、渋谷シアターTSUTAYA(旧Q-AXシネマ 11年9月閉館)と次々にミニシアターが閉館した。ミニシアターは、欧米のアートハウス(独自のプログラムを組む独立系映画館のようなもの)で上映されるような、商業性は少ないけれど優れた表現性に富む映画や映画祭受賞作などをロングラン上映して、1980~90年代にはミニシアター文化を形成した。ビデオショップにもミニシアター作品のコーナーができたほどであった。各ミニシアター独特の作品編成があり、映画館そのものにファンがつくということもあった。近年は映画観客数が減少し、短期間で投下した費用を回収するためスクリーン数を増やす傾向が強まって、従来の単館ロングランができなくなり、ミニシアターの特色が薄れていた。さらにシネコンの増加で、ミニシアター向きの映画が、上映作品が不足するシネコンに流れ、デジタル化の波に対応できなかったことも閉館の理由に挙げられている。