故・木下恵介監督が1912年12月5日に生まれたことを記念して、2012年の秋から生誕100年に関連した企画が続いた。彼が映画人生を送った松竹、生まれた静岡県浜松市、代表作「二十四の瞳」(1954年)のロケ地である小豆島町の三者で実行委員会を組織し、海外展開、記念上映など9つの企画を発表。国立近代美術館フィルムセンターで喜劇10本とともに見る機会の少ないテレビシリーズ「木下恵介劇場/木下恵介アワー」、アニメ作品までも公開され、東京フィルメックスでは映画24本が上映され、2012年12月1日には東劇でシンポジウムが開催された。続く13年1月には1949年の喜劇「お嬢さん乾杯」を新派が舞台化し、2013年6月1日には100年記念映画と銘打って、木下の実話を軸にした親子の愛を描く「はじまりのみち」がロードショー公開される。木下監督は「二十四の瞳」をはじめ、日本初のカラー作品「カルメン故郷に帰る」(デジタル・リマスター版として12年カンヌ国際映画祭とベネチア国際映画祭に出品され世界10都市で上映)や、人間描写に優れた喜劇、叙情的な作品、社会派作品など多彩な作品(映画は全部で49本)を生み出した。音楽家の木下忠司は実弟、脚本家の楠田芳子は実妹、また松山善三、小林正樹、大槻義一、吉田喜重、山田太一などの人材を育成したことでも知られる。