すずきじゅんいち監督のドキュメンタリー「二つの祖国で 日系陸軍情報部」が2012年12月に公開された。第二次世界大戦中にアメリカの秘密情報機関MISに所属した日系二世に焦点を合わせた作品で、すでに80~90歳代になっている彼らの証言をもとに、戦争によって家族が分断され、兄弟が敵味方に分かれて戦ったことなど、ほとんど知られていなかった歴史に目を向ける内容になっている。すずき監督はアメリカに11年間住み、日系人と出会って彼らの歴史を知らないことにショックを受け、多くの日本人に彼らのことを知ってもらおうと、08年に日本人強制収容所を記録した写真家をテーマにした「東洋宮武が覗いた時代」、10年に第二次世界大戦中の日系部隊をテーマにした「442日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍」を撮り、今回の作品が日系史ドキュメンタリー三部作の最終作に当たる。妻で女優の榊原るみが「監督の監督」とクレジットされている。12年11月には第29回山路ふみ子文化賞を受賞した。