東日本大震災の発生以来、各地の老朽化した映画館が次々に閉館へと追いやられている。日本最初の映画館である電気館が110年前の1903年(明治36)にオープンした浅草でも、浅草名画座、浅草新劇場、浅草中映劇場の3館が2012年10月21日ひっそりと幕を閉じた。成人映画専門だった浅草シネマと浅草世界館も同年9月に閉館。かつて映画に代表される大衆娯楽の一大中心地であった浅草も客離れが激しく、改築資金の捻出もままならず、映画館ゼロ地帯となった。シアターN渋谷は、同年12月2日に経営継続は難しいとして7年間の歴史に幕を閉じた。また、銀座三原橋にある地下街の銀座シネパトスも耐震基準を満たさないために13年3月をもって46年の歴史に閉幕。最後の作品として、同劇場の観客席を舞台にした「インターミッション」(13年2月23日公開)を製作した。銀座シネパトスは邦画の旧作をテーマ別に上映、またシアターN渋谷は、その大半はプレス試写すら行われない低予算のB級映画をかけるなど、特色のある番組編成で親しまれていただけに、今後はこれらの作品の上映機会が少なくなる。12年8月末に福岡県糟屋郡のTOHOシネマズトリアス久山、11月には山口スカラ座が将来の経営見通しが立たないと閉館。奈良市に次いで山口市も映画館がない県庁所在地になった。