イギリスの情報機関MI6の敏腕エージェントであるジェームズ・ボンドのスクリーンデビューから半世紀がたち、2012年に23本目の「007 スカイフォール」が公開された。全米興行収入が3億416万ドル(13年2月24日現在)、日本でも公開6週間で24億円を超えるヒットとなっている。ユニークで華麗なクレジットデザインと耳に残る主題歌、度肝を抜くアクション、新兵器、グラマラスな美女を配し、スケールの大きな悪人と世界規模の陰謀に立ち向かうヒーローというスパイ・アクション映画の基本を打ち立て、数多くの亜流、模倣、パロディー作を生み出し、それらが消え去った後も生き残り、スパイ・アクション映画の金字塔と呼ばれるまでになった。ボンドを演じる俳優もショーン・コネリー、ジョージ・レイゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグと代わった。クレイグ主演第1作「007 カジノ・ロワイヤル」(06年)からは、それまでのシリーズ作の流れを断ち切り、新たなボンド像を作り上げるなど、つねに新しい試みがなされているのも長続きしている理由である。