1997年にフジテレビで、織田裕二主演、本広克行監督、君塚良一脚本で放送された「踊る大捜査線」は、聞き込みや張り込みといったそれまでの刑事ものでは不可欠だった要素を排除し、湾岸警察署を舞台にした群集ドラマであり、喜劇とアクションの融合をめざして製作された。視聴率的にはあまりよくなかったが、インターネットなどで評判になり、2本のスペシャル作品を経て、劇場映画版の「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」が1998年10月31日に封切られると、興行収入101億円、観客動員700万人という歴代3位の大ヒットとなった。2003年の2作目「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が、興収173億5000万円、動員1260万人を記録し、歴代1位。10年7月の「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」も興行収入73億1000万円。そして12年に完結編となる「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」が公開され、興行収入59億円で12年第3位。15年間に登場人物の役職もかわり、キャリアもかわっていくなど、現実に即した変化を加えてはいるが、織田裕二扮する青島刑事を中心にした警察官グループの人間模様、エキセントリックな犯人像といったコアな部分は残っているところが、ファンの共感を呼んでいる。