日本映画製作者連盟(映連)が発表した映画産業データによると、2012年の興行収入(興収)は1951億9000万円で、前年より7.7%増えている。入場人員は1億5515万9000人で、前年より7.2%増えている。邦洋別では邦画の興収が1281億8100万円(前年比28.8%増)、洋画が670億900万円(前年比17.9%減)で、邦洋の割合は65.7対34.3と5年連続して邦高洋低傾向にある。平均入場料金は1258円で、前年より0.5%の微増。映画スクリーン数は3290で、前年より49スクリーンも減っている。公開本数は983作品で、前年よりも184本も増えた。邦画が554本、洋画が429本。邦高洋低になったのは公開本数の多さに加えて、邦画にヒット作が多かったことで、50億円以上の興行収入をあげた5作品のうち、洋画は11年12月に封切られ、53億8000万円をあげた「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」のみで、あとは「BRAVE HEARTS 海猿」(興行収入=以下同じ、73億3000万円)、「テルマエ・ロマエ」(59億8000万円)、「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」(59億7000万円)、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(53億円)と邦画ばかり。この4邦画のうち、「ヱヴァンゲリヲン」をのぞく3作品が東宝の配給作品であることも見逃せない。興行収入10億円以上をあげた39番組(短編併映作を含むために本数とはならない)の中で、東宝配給作品が他社との共同を含めて26番組を占め、トップ10では9番組を配給しているのだから、いかに東宝が強いかが分かる。「BRAVE HEARTS 海猿」「テルマエ・ロマエ」「ドラえもん」「ポケットモンスター」「名探偵コナン」と、コミックやテレビアニメ・シリーズの映画化が例年通り人気を集めた。東宝の強みはこれらの作品企画を押さえ、巧みなパブリシティー戦略で幅広くPRを展開していった点だろう。