ストリーミングで映画、テレビ番組を見ることの出来るサービスを提供しているネットフリックス、Amazonプライム・ビデオ、Huluなどの配信業者が自ら製作に乗り出した映画。ネット配信のみで劇場公開が行われないことも多い。ネットフリックスは「オクジャ/okja」(ポン・ジュノ監督)と「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」(ノア・バームバック監督)の2作品をカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品。映画祭事務局は劇場での公開を要請し拒否されたため、次回からは出品作をフランス国内の劇場で公開される作品に限定すると、規約を改定した。フランスには劇場公開映画は3年間ネット配信出来ないとする法律があり、これは事実上の締め出しを意味する。ネットフリックスは12年からドラマ、15年から映画の製作を始めており、17年のコンテンツ製作費は60億ドル(約6600億円)でテレビネット業界2位。18年には80億ドルの予算を計画している。映画産業にとって、ネット配信は不安材料となっているが、全米映画興行組合副理事長のパトリック・コーコランは「映画館で映画を見る経験は特別。ネット配信はテレビ産業を揺さぶっているのであって、映画産業を揺さぶっているのではない」と強気の発言をしている。しかし、ネットフリックスの加入者は、17年3月の時点で、全米5000万人を上回り、ケーブル主要6社の全契約者数4860万人を超えている。2017年末現在、全世界で1億1760万人が契約しているネットフリックスの動向は、短期的には映画界への影響は少なくとも、長期的には必ず変化をもたらすことになるだろう。