近年日本では、マンガの実写映画化が毎年40本強は製作されており、なかでも「ちはやふる」(原作・末次由紀、2016年)、「兄に愛されすぎて困ってます」(原作・夜神里奈、17年)、「先生! 、、、好きになってもいいですか?」(原作・河原和音、17年)、「未成年だけどコドモじゃない」(原作・水波風南、17年)など、少女マンガを基にした作品が女性観客を集めている。ほとんどが女子高校生を主人公にして、胸キュンというキャッチフレーズが多用されているように、初恋と友情の物語が語られる。高校生の秘密結婚、教師との禁断の恋、難病といった一捻りした要素を入れ込み、重いテーマ、キャラクター設定は無く、両親の描写がほとんどないのも特徴の一つ。一方、男性向けマンガの映画化は「ミュージアム」(原作・巴亮介、16年)、「銀魂」(原作・空知秀秋、17年)「東京喰種 トーキョーグール」(原作・石田スイ、17年)、「鋼の錬金術師」(原作・荒川弘、17年)と、派手なアクション満載の活劇、ダークな雰囲気のスリラーが目立っている。これに対して、アメリカでは、マーベルとDCという2大コミック・ブランドのスーパー・ヒーローを主人公にしたアクション作品がほとんど。DCが「マン・オブ・スティール」(13年)、「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」(16年)、「ワンダーウーマン」(17年)、一方のマーベルが「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(16年)、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(17年)、「スパイダーマン:ホームカミング」(17年)、「マイティ・ソー バトルロイヤル」(17年)等々、高額の製作費をかけ、SFXを駆使した大スケールの作品に仕上げている。近年では、マーベルが「アベンジャーズ」、DCが「ジャスティス・リーグ」と銘打って、単独ではなく複数のヒーローがチームとして悪と戦う「ユニバース」という設定が増えている。映画化に際しても日米のマンガに対する見方の相違が反映されているのだろう。