7世紀初めに百済から伎楽(ぎがく)という芸能が伝えられ、それに用いられた多数の仮面が正倉院に残されている。続いてもたらされた舞楽(ぶがく)は、日本古来の芸能と融合し、奈良時代から平安にかけて集大成され、宮廷の芸能として確立した。独自の楽器を使用した音楽、舞、仮面、衣装などの総体が今日に至るまで受け継がれ、雅楽と総称されている。宮内庁式部職楽部(くないちょうしきぶしょくがくぶ)のほか、小野雅楽会など専門の民間団体も活動している。明治時代に洋楽が輸入された際、その受け皿となったのは雅楽の演奏家であり、現在も東儀秀樹(とうぎひでき)をはじめとして創造的な音楽家も生み出すなど、最も古い伝統を持つ日本芸能の根幹と位置づけられている。