ブロードウェイ(ニューヨーク)、ウェストエンド(ロンドン)に代表されるように、欧米の大都市では、スターシステム、プロデュースシステム、ロングランシステムを基盤とした娯楽性の強いショービジネスとしての演劇の伝統がある。これに対して近代の日本において、伝統芸能や芸術運動としての新劇・小劇場演劇以外の呼称として、「商業演劇」が用いられてきた。具体的には東宝、松竹、明治座、御園座などの興行資本による演劇を指し、巡業を主体とする座長芝居を大衆演劇と呼び分けてきた。しかし、現在においては、歌舞伎・新派も松竹が運営し、新劇団の多くも会社組織となる一方、各ジャンルのクロスオーバーが進み、ジャニーズ事務所、ホリプロなど芸能プロダクションの演劇進出、プロデュース公演の増加といった状況から、従来のジャンル分けは無意味となりつつある。