紀元前5世紀に最盛期を迎えた都市国家アテナイにおいて、酒神ディオニュソスの祭りの期間に演劇が上演された。中心は悲劇で、選ばれた3人の作品が日替わりで上演され、コンクール形式で優劣を競った。野外の劇場で仮面をつけた役者が主要な役を演ずるほか、コロスと呼ばれる一隊が、市民など集団的な役柄と歌舞を担当した。悲劇三大詩人と呼ばれるアイスキュロス(「オレステイア三部作」等)、ソポクレス(「オイディプス王」「アンチゴネ」等)、エウリピデス(「メデイア」「バッコスの信女」等)による計33篇と、痛烈な社会風刺に富んだアリストパネスの喜劇11篇(「鳥」「女の平和」等)も現存する。