フランス古典主義時代の劇作家(1622~72)。パリの裕福な家庭に生まれたが、青年期に仲間と劇団を結成し地方を巡業する。この間イタリアの笑劇から作劇法を学び、人間観察を重ねて劇作家としての腕を磨いたとされる。パリに戻ってからはルイ14世の庇護を受け、パレ・ロワイヤル座を根拠地として活発な演劇活動を展開した。「タルチュフ」「ドン・ジュアン」「守銭奴」「人間嫌い」などが代表作とされる。市民階級の健全な視点から、社会生活に見られる偽善や硬直などを喜劇的手法で痛烈に風刺した。そのため貴族や宗教界からの反発も招いた。笑いの中にも人間性を深く描いた「性格喜劇」を確立して普遍性を獲得した。