ジャワ島を中心としたインドネシアにおける芸能の総称。その源流である影絵人形劇(ワヤン・クリ)を特に指す場合も多い。ガムラン音楽の伴奏により、古代叙事詩や神話を題材にとった物語が演じられる。ほかに木偶(でく)人形劇(ワヤン・ゴレ)、仮面舞踊劇(ワヤン・トペン)、絵巻語り物(ワヤン・ベベール)、舞台劇(ワヤン・オラン)などがある。いずれも宗教や宮廷文化と深く結びつき、人々の生活に密着して共同体の営みとして見物人も含め全員参加の意識のもとで長時間にわたって演じられ、生活習慣や文化の伝承においても重要な意味を持つ。バリ島の舞踊なども含め、そうしたあり方や表現の豊かさが、西欧の演劇文化にも衝撃と影響を与えている。