1913年5月4日生まれ。早稲田大学在学中から演劇活動を始める。東宝劇団、古川緑波一座などに所属した後、アナウンサーとして満州に渡る。終戦後1年以上の辛酸を経て帰国。50年、NHKラジオ「愉快な仲間」に出演したのをきっかけに、才気あふれるコメディアンとして人気を得る。55年の映画「夫婦善哉」で演技力を認められ、「社長シリーズ」「駅前シリーズ」など多数の映画に出演、テレビドラマでも活躍する。舞台では「佐渡島他吉の生涯」「孤愁の岸」などの主演作があるが、生涯の当たり役は、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」のテヴィエである。帝政末期ロシアの寒村に暮らす貧しいユダヤ人の一家を中心に、家族愛、隣人とのきずな、民族の誇りと悲哀などを織り交ぜて描いた名作の主人公である頑固だが愛情あふれる父親を、67年から86年まで900回にわたって演じ続けた。この作品は日本ミュージカルのレパートリーの一つとなり、テヴィエ役は、上条恒彦、西田敏行、市村正親と受け継がれている。91年、文化勲章。2009年11月10日死去。国民栄誉賞追贈。