2003年の地方自治法一部改正に伴い、公共施設の管理方法が管理委託制度から指定管理者制度に移行した。地方自治体は公共ホールを06年9月を期限に、直営か、これまで委託してきた外郭団体の財団や民間企業を含む指定管理者に委託するかを決定した。東京都葛飾区の「かつしかシンフォニーヒルズ」は、オーチャードホールなどの経営経験のあるBunkamuraを含む東急エージェンシーの企業グループを指定管理者に選び、横浜市の「かなっくホール」はサントリーホール企画室の経験者を送り込めるサントリーパブリシティサービスを選んで、蓄積されたノウハウを利用する。東京都美術館や東京芸術劇場は、休館を伴う大規模改修工事が必要となるため、2008年1月に都の外郭団体である財団法人東京都歴史文化財団が、指定管理者として8年間特命期間を延長された。民間委託による経営合理化と集客努力は必要だが、都の顔となる芸術的な質は落とせない。公共ホールは、これまで培ったものを試される時期にきている。