異なる複数の旋律を同時に組み合わせる作曲技法。ホモフォニー(単性音楽)の書法を教える和声法と並んで、ポリフォニー(多声音楽)の技法として今日でも作曲教育の根幹をなす。中世・ルネサンス時代には教会旋法による対位法が完成され、バロック時代には調性による対位法がバッハとともに頂点に達した。古典・ロマン派ではホモフォニーが支配的だったが、ハイドン、モーツァルト、ベートーベン、ブラームス、ワーグナーらは対位法の技術にもすぐれていた。十二音音楽やミュージック・セリエルでも無調の対位法が重要な役割を演じている。対位法の中でも、ある声部の旋律や主題を他声部が模倣して楽曲を展開する手法を特に模倣対位法といい、その最も完成された形式がフーガである。