広義には、明治以降に輸入され普及した洋楽以外の日本の民族的音楽。狭義では、民俗音楽(民謡・民俗芸能など、地域と結びついた基層社会の音楽)で、古典邦楽と同義。発展した時代別に、(1)雅楽、声明(8~11世紀)、(2)平曲、能、狂言(12~16世紀前半)、(3)尺八楽、地歌、箏曲、胡弓楽、浄瑠璃(義太夫節、一中節、河東節など)、長唄、荻江節、端唄、歌沢、小唄(16世紀後半~19世紀)などに分類される。(1)は貴族文化、(2)は貴族・武士と庶民との交流、(3)は庶民文化の中で熟成した。雅楽、尺八楽、地歌、箏曲、胡弓楽の一部を除き、声楽が中心である。能・狂言をはじめ人形浄瑠璃(文楽)の義太夫節、歌舞伎の長唄・常磐津節・清元節など、演劇との結びつきも強い。