歌劇ともいう。独唱、重唱、合唱といった声楽を中心として、一般にオーケストラの伴奏をもち、舞台の上で歌いかつ演じられる劇音楽。1600年ごろにイタリアで起こり、バロック時代にはモンテベルディやヘンデル、古典派ではグルックやモーツァルト、ロマン派になるとロッシーニ、ベルディ、ワーグナー、プッチーニなどの手で発展し、20世紀にもドビュッシー、リヒャルト・シュトラウス、ベルグ、ブリテンらが、優れたオペラを残した。
まじめな内容をもつオペラ・セリア(opera seria 伊)、喜劇的なオペラ・ブッファ(opera buffa 伊)やオペラ・コミック(opera comique 仏)、大規模なグランド・オペラ、小編成の室内オペラ、素朴な歌芝居といった風情のあるジングシュピール(Singspiel 独)、娯楽性の強いオペレッタなどの種類に区別される。独唱の部分には、旋律美に重点を置くアリアと朗唱に近いレチタティーボが区別されたが、ワーグナーはこの区別を廃し、ドラマの継続的な流れを重視する楽劇(Musikdrama 独)を創始した。主役を演じる女性歌手をプリマ・ドンナ(prima donna 伊)、男性歌手をプリモ・ウォーモ(primo uomo 伊)という。