広義には唱歌、民謡、流行歌などを含む歌一般を指すが、狭義には芸術性の高い芸術歌曲(リート)を意味することが多い。この意味での歌曲は詩の内容と旋律の一体化を目指し、19世紀のドイツ語圏でシューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフらによって大きな発展をとげ、特にドイツ・リートと呼ばれる。フランスではフォーレやドビュッシーが独自の歌曲を生んだ。歌曲は一般にピアノ伴奏つきの独唱曲で形式的には2部分ないしは3部分のリート形式をとるものが多い。また、詩の複数の節に同じ旋律を当てた有節歌曲(例えばシューベルトの「野ばら」)と、すべての節にまたがって旋律をつけた通作歌曲(例えばシューベルトの「魔王」)という区別もある。