作曲や演奏の過程でコンピューターを用いた音楽。コンピューターによる作曲では既存の楽曲や音楽理論から抽出した規則をプログラム化して入力し、統計理論に基づいて一定の秩序をもった音楽を生み出す。最初の曲は1955~56年にアメリカのイリノイ大学で作られた。また、フランスのクセナキスは62年以来、コンピューターによって音の分布を計算するミュジック・ストカスティック(推計音楽 musique stochastique 仏)を試み、日本でも高橋悠治に類例がある。作曲以外にも、電子音楽の音響合成やシンセサイザーによる演奏が次第にコンピューターで制御されるようになり、新しい音楽の分野を作り出している。なお、ライブ・エレクトロニック・ミュージック(電子音楽の生演奏)にコンピューターを導入し、生演奏の音をその場で即座に解析して、電子的な変調や遅延化などを加え、新たな音源としてリアルタイムに演奏の場にフィードバックさせる方法も、コンピューターの小型化によって一般化した。これは、パリのジョルジュ・ポンピドー・センター内に、77年に設立されたイルカム(IRCAM=音響・音楽の探究と調整のセンター)などで、初代所長のピエール・ブーレーズをはじめとする作曲家たちが率先して研究してきた領域である。