心を落ち着かせストレスを癒やす、静かな音楽をヒーリング・ミュージックという。1980年代末のペルトや、90年代以降のグレツキの「悲歌のシンフォニー」、グレゴリオ聖歌、CDアルバム「アダージョ/カラヤン」などが代表的。音楽から本格的な癒やしを得るという意味では、以前より音楽療法の研究と実践があった。これは、音楽を聴いたり、歌ったり、あるいは楽器を演奏することによって、心身の障害を軽減・拡幅したり、人間関係を円滑にしたり、生活の質的向上などを図るものである。その定義にはさまざまなものがあるが、認知症の進行抑制などの点で近年とみに効果が期待されてきている。欧米では既に定着している療法ではあるが、日本ではまだ国家資格としての療法士の認定制度がない。全日本音楽療法連盟が96年以来、認定音楽療法士の制度を設けているほか、岐阜県や奈良市といった自治体が独自の認定制度を設けている。全日本音楽療法連盟は、音楽療法士の国家認定資格の獲得・申請を目標の一つとしており、01年4月には、構成2団体(日本バイオミュージック学会と臨床音楽療法協会)を統合して日本音楽療法学会を結成した。