明治期の洋楽受容によって、日本の伝統的な音楽も変化を被るが、それは最近再びグローバル化のなかでとらえ直されつつある。近世邦楽の流れをくみながら、1920年代には宮城道雄が箏と西洋楽器を共演させたり、低音の出る箏を開発したりという新日本音楽の運動を始めており、邦楽内部にも洋楽の影響を受けた新邦楽が誕生した。第二次大戦後には、西洋音楽の行き詰まりとともに、50年代末から洋楽系・邦楽系の作曲家の接近が進み始め、伝統的な響きや技巧を生かした現代邦楽が双方から作り出されるようになる。また、70年代より正倉院などに残る古代の楽器を復元して、前衛作曲家たちに新しい創作を委嘱する玲楽といわれる活動も、国立劇場を中心に行われている。