東京・有楽町の東京国際フォーラムで2005年から始まった音楽祭。フランスの都市ナントで、アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンのアイデアにより始まって成功したものを日本に移したものだが、コンセプトは手軽さと選択肢の多さ。5月の大型連休の3日間に、1回45分ほどの演奏会を大小のホールで並行して約300公演催すかたわら、もりだくさんの関連行事を会場とその周辺で行うというもの。毎年特定の作曲家をテーマにする。05年は「ベートーヴェンと仲間たち」、06年は生誕250年の「モーツァルトと仲間たち」、07年はチャイコフスキー、ドヴォルザーク、シベリウスなど各地の伝承音楽に魅せられた14カ国57人の作曲家に焦点を当てた「民族のハーモニー」で、08年は「シューベルトとウィーン」、09年は「バッハとヨーロッパ」、10年は「ショパンの宇宙」、11年は「タイタンたち」。内外の名演奏家や好企画を集めた上で、チケットも1500~3000円という低価格。凝った内容の演奏会も少なくない。小ホールでの公演はチケット売り出しとともに即完売するものもある人気で、初回の05年でも32万人の来場者があった。通常、演奏会は夜の定時に始まって2時間ほど要するが、ラ・フォル・ジュルネの成功は、退屈しない長さで、気軽に好きなものを好きなだけ聴いて連休を過ごせること。昼間の演奏会には未就学児童も入ることができ、家族で楽しむことも可能である。また主婦のように平日の夜に時間がとれない潜在的な聴衆層にも効果があった。なお、東京での成功にあやかろうと、08年から「ラ・フォル・ジュルネ金沢」が、10年から「ラ・フォル・ジュルネ新潟」と「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」が始まった。