アメリカ黒人音楽の重要な柱であるブギウギ(略してブギという)が、2005年ごろになって日本で急に若い人々の注目を浴びるようになった。横須賀出身の斎藤守也、斎藤圭土の兄弟チーム、レ・フレールによるブギを主体としたピアノ二重奏の人気急上昇のためだ。もともとブギとはブルースをダンス音楽に使うときに自然に生まれたパターンだ。日本の音楽事典の中には、ブギをピアノ音楽としてシカゴで起こった様式であるかのように説明したものがあるが不適切で、ブルースが南部でギターによって8ビート(エイトビート)のダンス音楽として演奏された様式が、後にピアノに転用されたものである。それを1928年にピアニストのパイントップ・スミスがブギ・ウギと名付けて録音したことからこの名前が一般化した。しかしギター・ブギも一貫して広く行われ、それが50年代にロックを生み出す基盤となり、さらに半世紀後にレ・フレールによってよみがえった。この兄弟の自由奔放な演奏はまさにブギの精神を21世紀に生かす試みといえる。