南米コロンビアの北部からパナマあたりの一部で、おそらく20世紀初頭から、細々と行われてきた黒人系のダンス音楽。1960年代の初めに、アルゼンチンでロス・ワワンコーというグループの演奏する「陽気な漁師」などのクンビアが大ヒットする珍現象が起きた。さらにほぼ半世紀後の2008年から09年にかけて、ヨーロッパをはじめ東京を含む各地でクンビアが話題となった。新しい素材の発掘を競うクラブDJたちが取り上げたのがきっかけで、レゲエに通じる裏打ちのビートをチープな電気音で強調したのが受けたのだが、それはラテン音楽の枠を超えており、多くの場合デジタル・クンビアと呼ばれる。その第一人者ディック・エル・デマシアドが09年の夏に来日したが、彼自身は中年のオランダ人。彼の日本盤は「クンビア・ルナティカ」(狂気のクンビア)と題されていた。