スペイン南部のアンダルシア地方で生まれた音楽、もしくはダンスのこと。パルマ(手拍子)やギターの伴奏でうたわれたり、踊られたりする。近年はペルー起源の箱型打楽器カホンもよく使われる。歌にはコブシが多用され、ホンド(深い情感)をたたえた表現が大切にされる。ブレリーア、シギリーヤ、ソレア、ファンダンゴなどさまざまなスタイルの曲がある。カタルーニャ地方やフランス南部では、ラテン音楽の影響を受けたルンバと呼ばれるスタイルも人気がある。8世紀から15世紀までイスラム王朝に支配されたアンダルシア地方では、キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒の文化が混在していた。16世紀以降イスラム教徒とユダヤ教徒は追放されたが、文化的伝統は残り、後に到着したヒターノ(ジプシー)がその風土の中でフラメンコを作り出した。19世紀中期にはフラメンコを演じる酒場が生まれ、世紀末まで隆盛をきわめた。他の音楽との交流やヒターノ以外のミュージシャンの参入が進む一方、1920年代ごろから伝統を守る動きもはじまった。第二次世界大戦後のフランコ政権下では、スペインを代表する音楽・舞踊として奨励された。代表的な歌手にマヌエル・トーレ(Manuel Torre 1878~1933)、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス(La Nina de los Peines 1890~1969)、マノロ・カラコール(Manolo Caracol 1909~73)、カマロン・デ・イスラ(Camaron de la Isla 1950~92)、ギタリストにラモン・モントーヤ(Ramon Montoya 1880~1949)、サビーカス(Sabicas 1912~90)、パコ・デ・ルシア(Paco De Lucia 1947~)などがいる。