アルゼンチン生まれのダンス音楽。脚の複雑な動きを伴ったダンスで知られる。ヨーロッパ各地でも1930年代から人気が高く、それらはコンチネンタル・タンゴと呼ばれる。キューバの音楽ハバネラの影響を受け、ブエノスアイレスの下町で、ポルカや草原地帯の民謡調の音楽をフルートやクラリネット、ギターやバイオリンで演奏したのがタンゴのはじまり。当時はアフリカ系のミュージシャンも少なくなかったと言われる。20世紀に入ると、ドイツからもたらされたバンドネオンが人気を集め、オルケスタ・ティピカと呼ばれるバンドネオン2、バイオリン2、ベース、ピアノの編成が基本となった。1910年代後半にはカルロス・ガルデル(Carlos Gardel 1890~1935)がデビューして歌のタンゴも加わり、20年代から30年代にかけてと40年代後半から50年代前半にかけて黄金時代を迎えた。80年代のブロードウェイ・ミュージカル「タンゴ・アルヘンティーノ」のヒットや、90年代のアストル・ピアソラ(Astor Piazzolla 1921~92)・ブームを経て、21世紀にはエレクトロニックなクラブ系のタンゴも登場した。主な演奏者にフリオ・デ・カロ(Julio De Caro 1899~1980)、フランシスコ・カナロ(Francisco Canaro 1888~1964)、フアン・ダリエンソ(Juan d'Arienzo 1900~76)、オスバルド・プグリエーセ(Osvaldo Pugliese 1905~95)、アニバル・トロイロ(Anibal Troilo 1914~75)など。