各種のゴング(青銅製打楽器、鉄製もある)や太鼓を中心としたオーケストラで演奏されるインドネシアの伝統音楽。ガムランはその打楽器の名前でもあり、道具を扱うものという意味がある。ときにスリン(竹笛)やバイオリン的な楽器も使われる。バリ島には竹の楽器で演奏するジェゴクというガムランもある。ジャワやバリなど地域により、また宗教儀礼、宮廷行事、舞踊、影絵芝居など用途により、さまざまな編成の演奏スタイルがあるが、ほとんどの曲はスレンドロもしくはペロッグという二つの五音階のどちらかで演奏される。オランダの植民地時代すでに高度な演奏が行われていたことが知られ、ドビュッシーやラヴェルは19世紀末にパリの万国博覧会でガムランを聞いて衝撃を受けた。20世紀以降も数多くの新作が発表され、アメリカのルー・ハリスン(Lou Harrison 1917~2003)など現代音楽の作曲家にもガムランに刺激された作品を発表している人がいる。いまのインドネシアのローカルなポップスにもゴングを使った音楽が少なからずある。