ファッションショーを見て、商品をすぐ購入できる、新たなビジネスモデル。直訳は「今見て、今買う」。略してSNBN。2016年にニューヨークのレベッカミンコフがスタートし、EC(電子商取引)と店舗で過去最高の売り上げを収めたため、他ブランドも参入。SNSの発達によって、一般消費者もライブストリームなどで、コレクションショーをリアルタイムで共有できることから欲しいアイテムをすぐに購入したい消費者の欲求に対応するシステム。購入方法は、ショーの最中、もしくは終了後からオンラインと店舗で販売。2017年春夏コレクションでは、ニューヨークとロンドンの複数のデザイナーによって試みられた。ニューヨークのラルフ・ローレン、トミー・ヒルフィガー、トム・フォード、ロンドンのバーバリーでは、メンズとレディースを統合。そこにSNBNの画期的なコレクションを開催し、話題となった。2017年春夏コレクションでは、完全なSNBNのコレクションと同時に、従来通りの3~6カ月先に売る商品と組み合わせたハイブリッド型のコレクションショーが増加した。低迷するファッション業界の起死回生の策という一面もあるが、適さないアイテムもあることなど、未だ実験的な段階。メリットとして、ショー直後の消費者の購買欲を満たすことができる。ファストファッションへの対応(デザインの模倣を防ぐなど)ができる。デメリットとしては新聞、雑誌、テレビ、ネットメディアなどの露出の減少が挙げられる。生産のリードタイム(発注から納品までの所要時間)が長い、凝った素材や仕立てなどには適さず、リードタイムが短いTシャツなどのカジュアル、ジェンダーレスなアイテムに適する。そのため、スポーツウエアが中心のニューヨークではSNBNが増加、入念な仕立てと高級素材が売りのミラノやパリでは様子見の状態である。ニューヨークコレクションでは、CFDA(Council of Fashion Designers of America アメリカファッションデザイナーズ協議会)がSNBNを推奨し、都市を挙げての積極的な動きを見せている。だが、その動きを避けるように、2018年春夏コレクションから、ニューヨークから離れてロンドンやパリでショーを開催するブランドが増加、または元のペースに戻すなどSNBNに距離を置く姿勢が強まリ、一部の若いブランドは除き、閉塞感の打開には繋がらなかった。