近年、観光業界だけでなく、国や自治体、公共団体などが連携して、観光客誘致のために観光情報や各種サービスの提供をはじめさまざまな活動を行っている。国を挙げての外客誘致活動ビジット・ジャパン・キャンペーンは2010年までに訪日外国人旅行者を1000万人にする計画だが、07年1月には「観光立国推進基本法」も施行され、08年10月には観光庁も設置された。07年に日本を訪れた外国人は前年比13.8%増の約835万人に達し、過去最高を記録した。しかしながら、08年夏以降の急速な円高傾向と世界的株安環境の中で、訪日外国人数は減少に転じている。一方、日本を訪れる外国人の観光形態にも変化が見られる。台東区や荒川区に多い簡易宿泊所や、日本独特といわれるカプセルホテルに泊まったり、アニメやオタクグッズを扱う店が多い秋葉原や池袋の「乙女ロード」、東京中野の商店街「中野ブロードウェイ」に姿を見せる外国人も増えている。映画やテレビドラマ、テレビCMの撮影ロケ地を誘致するフィルムコミッションの活動も活発である。映画やテレビでその地域が映し出されることが観光客の誘致、ひいては地域の振興に役立つと考えてのことである。ほかにも新たな観光地の魅力づくりを担う観光カリスマの選定や、歴史的な産業遺産や最先端の工場まで、産業活動そのものを地域振興に結びつける産業観光への取り組みなど、観光誘致のための多彩な活動が各地で進められている。