観光あるいは旅行は、世の中の平和と安全が保障されて初めて成り立つ。しかしながら現実には、観光地が地震や津波などの自然災害、テロや戦争などの人的災害を被ることも少なくない。2008年5月に起きた中国・四川大地震では、8万6000人以上の死者・行方不明者を出したが、世界文化遺産に登録されている古代の水利施設「都江堰(とこうえん)」の人工中州にひびが入ったり、四川省臥竜の「パンダ保護研究センター」からパンダが逃げ出したり、えさ不足に追い込まれるなどの被害が出た。また01年9月11日のアメリカ同時多発テロ、02年10月および05年10月のバリ島爆弾テロ、05年7月のロンドン地下鉄同時爆破テロなど、観光地をテロが襲うケースも多い。国内では、04年10月の新潟県中越地震、07年3月の能登半島地震、同年7月の中越沖地震などで、いわゆる風評被害による宿泊予約のキャンセルが観光地の復興の妨げになる例もあり、旅行業界では、観光が主産業である被災地やその周辺への送客キャンペーンを行った。