国際連合教育科学文化機関(UNESCO ユネスコ)の世界遺産委員会が「顕著で普遍的な価値」を認めた遺跡や景観、自然などで世界遺産リストに登録される。2011年6月現在、世界遺産条約締約国は187カ国、全世界で936件が登録されている。その内訳は、文化遺産725件、自然遺産183件、複合遺産28件である。日本では11年6月、「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」が文化遺産に、「小笠原諸島」が自然遺産に登録され、国内の世界遺産は16カ所(文化遺産12、自然遺産4)になった。また今後の登録を目指す国内暫定リストには、「富岡製糸場と絹産業遺産群」、「武家の古都・鎌倉」、「富士山」、「彦根城」、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」、「国立西洋美術館本館(『ル・コルビュジエの建築と都市計画』の一部として)」、「北海道・北東北の縄文遺跡群」、「九州・山口の近代化産業遺産群」、「宗像・沖ノ島と関連遺産群」、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」、「百舌鳥・古市古墳群」の12件が挙がっている。そのうち「富士山」と「武家の古都・鎌倉」は、12年1月にユネスコへの推薦が正式決定した。世界遺産への登録は周辺地域の観光に大きな影響を与えるが、観光客の増加がもたらす弊害も指摘される。例えば05年に自然遺産に登録された知床では、観光客の急増による荒れ地の拡大や希少動物への干渉などが懸念され、屋久島では島内の一部地域で入山規制を行うことが検討されている。