かつての江戸時代の華やかな隅田川(墨田川)を現代によみがえらせるとともに、新たに水と緑の都市文化を根付かせ、未来につなごうという取り組み。東京都は、2011年に「隅田川ルネサンス推進協議会」を設置し、隅田川沿川区や関係諸団体と連携して、学識経験者らとともに、隅田川を中心とする水辺空間の賑わい創出に関する協議を行っている。高度経済成長期以降、物流機能などでは陸上交通が中心的存在になり、水質の悪化などもあって隅田川への関心は薄れていった。「隅田川ルネサンス」の取り組みは、地域経済の活性化を目指すとともに、住民が参加する地域おこしのための企画でもある。海外の事例を見れば、イギリスのロンドン・テムズ河畔やイタリアのベネチアなどは、川や運河を中心として、様々なイベントや祭りが展開され、にぎわいを見せている。現在、東京都では、東京スカイツリーの開業を契機に、隅田川のにぎわい創出に向け、特に地元区である台東区、墨田区、中央区、江東区などと提携して、様々なイベントを矢継ぎ早に実施している。隅田川再生の取り組みとしてそれ以前からも支流の小名木川、旧中川を会場とする「水彩フェスティバル」(00年~)や、1965年で途絶えた「流灯会」を2005年に復活させた「浅草夏の夜まつり とうろう流し」、同じく05年開始の河畔を彩る桜を花見船や橋の上から楽しむ「お江戸深川さくらまつり」、08年に始まった水上バスや親水テラスでのステージ・模擬店などを楽しむ夏の「両国納涼水辺まつり」と秋の「リバーサイドオータムフェスタ」、水上スキーや水上バイクが華やかにエキシビジョンを繰り広げる「隅田川 水面の祭典」(09年~)などが行われてきたが、推進協議会発足後は、10万個の太陽光蓄電LEDを水辺に放流する「東京ホタルひかりのシンフォニー」(12年~)、日本最大級の都市型青空市場「太陽のマルシェ」(13年~)などもスタートしている。これらは「両国川開き」として江戸時代に起源を持つ「隅田川花火大会」や、14年で83回を数える「早慶レガッタ」などの伝統行事とともに、「水の都」東京の再生に寄与している。