白内障は目の水晶体が混濁する疾患で、視力の低下をまねき、悪化すると失明することもある。水晶体のたんぱく成分の変化や水晶体線維の配列の破壊によって発症する。病因として、遺伝性、炎症性、代謝性、変性、外傷性、栄養性、中毒性に分けられる。イヌの白内障でもっとも多い原因は遺伝性で、ネコの白内障の原因で多いのは炎症性である。症状が似ているものに核硬化症がある。核硬化症は6歳以上のイヌ・ネコに見られる老化現象で、原因は中心部水晶体線維への圧縮である。水晶体中央部に左右対称で明瞭なかすみ状で見られるもので、臨床的には視覚障害を起こさない。