飼育環境の改善や獣医療の変化に伴い、高齢のイヌ・ネコが増加しており、認知症状を発症するようになってきた。老化したイヌの脳内には人の老化した脳と同じく、βアミロイドが沈着していることがある。認知症状として、(1)よく知っている環境下で見当をつけられない、(2)飼い主や他の動物との関係性の変化、(3)睡眠と起きているときの時間認識がくるう、(4)しつけなど学習していた行動や反応が減ったりなくなったりする、(5)活動性そのものの変化などが挙げられる。具体例では、イヌでは夜哭き、後ずさりできない、尿失禁、飼い主への攻撃性などがある。これらの症状について、多くの飼い主は老齢の結果のためで改善しないとあきらめがちだが、治療により改善することもある。