動物には人間から搾取されたり虐待を受けたりすることなく、自然のままに生きる権利があるとする考え方。動物実験や肉食など動物を利用することをやめ、動物を犠牲にするライフスタイルを変えようという運動につながっている。本来は動物にどのような道徳的・倫理的配慮をするべきかという議論で、オーストラリアの哲学・倫理学者であるピーター・シンガー(1946年~)が1975年に出版した『動物の解放』がきっかけ。シンガーは「苦しみを感じることのできる存在である限り平等な道徳的配慮が必要」と主張して動物実験や工場畜産を批判。それに対しアメリカの哲学者のトム・レーガンが83年に『The Case for Animal Rights』(動物の権利の根拠)を出版、“生の主体”には自由の権利、生きる権利があるとしたところから「動物の権利」という概念が広がった。苦痛を感じる動物と感じない動物との線引き、“生の主体”とされる動物の範囲など論争は続いている。