植物の新品種育成者の権利。植物新品種は、その植物体を入手すれば育成者以外の者でも容易に増殖・販売ができることから、育成者の利益を保護するために設定されるもので、知的所有権の一つ。各国で育成者保護のための法律が制定されているが、国際的には植物新品種保護に関する国際条約(UPOV Union Internationale pour la Protection des Obtentions Vgtales 仏)があり、2007年6月現在アメリカ、イギリス、フランス、日本など63カ国とEC(欧州共同体)が加盟している。日本では1973年に改正された種苗法により創設された品種登録制度で、同条約が定めた保護を実施してきた。UPOV条約では、育成者に無断で新品種の種苗を販売することを禁止している。UPOVへの加盟によって諸外国で育成された優良品種の導入が容易になった。草花等の観賞用植物の分野を中心に、登録品種は年々増えており、特にバラ、カーネーション、キク、シンビジウム、ユリなどの登録が多い。品種登録者以外の者が登録品種の種苗を生産して販売する場合には、品種登録者の許諾を得る必要がある。その際、通常は、品種登録者に対して苗1本当たりいくらといった許諾料(ロイヤルティー)を支払うことになる。なお、近年のバイオテクノロジーの発展等を踏まえ、育成者の権利を適切に保護するため、91年に育成者権の強化等を内容として、UPOV条約が改正された。この91年条約は98年4月に発効している。日本でもこの91年UPOV条約に対応した品種保護制度の充実を図るため、98年5月に種苗法が全面的に改正された。