人家に近く、日常の燃料や山菜、堆肥(たいひ)用の落ち葉の採取などに利用されてきた生活にかかわりが深い山林。さらに範囲を広めて、集落の周辺の農地や水辺までを含める広い考え方もある。生活様式が変化するに従って忘れられていた機能が、近年、自然志向の高まりとともに、見直されてきている。落ち葉を使った自給堆肥を利用しての有機農法による野菜などの栽培や、子供たちのためにカブトムシやトンボ、ホタルなどの昆虫やメダカなどが生息する環境を復元しようとする動きもある。里山歩きや、里山生活に関するマスメディアの情報も増えている。さらに、墓石の代わりに、その地方に自生するツツジやサクラなどの木を植えることによって里山を育てようとする樹木葬などにも関心が高まってきた。