農園芸分野でも、近年LED(発光ダイオード;Light Emitting Diode)の利用が注目されている。研究が進んでいるのは病害虫防除。(株)四国総合研究所によると、夜間に約2時間緑色光を照射すると、イチゴやシクラメンなどの炭疽病、及びキュウリやピーマンなどの果菜類に発生する灰色かび病を抑制できたという。この効果は緑色LEDだけでなく、波長480~560nmのできるだけ純粋な緑色光を照射できる光源であれば、緑色蛍光灯などでも効果が得られ、すでに新しい病害防除技術として特許出願されている。また緑色光の照射は、病害防除だけでなくハダニの防除や作物の生育促進効果があることも明らかになっており、同社では緑色光照射システム「みどりきくぞう」を開発している。一方、紫外線域がないLED光線を照射すると、害虫の侵入を防ぐ効果がある。電照ギクやイチゴハウス栽培でも、従来電照期間中のヤガ類飛来防止に使用してきた黄色蛍光灯に代わり、LEDの利用を進める動きが現れている。家庭でも、街路灯や庭園灯に害虫飛来防止効果があるLEDを、太陽電池と接続して使えるようになりつつある。消費電力発熱量は白熱電球の1/7~1/9になると言われ、今後、多様なLED素子の誕生と、光を利用した新しい農園芸関連技術の開発とが、あいまって進行することが期待されている。