ジョン・レノンが遺(のこ)した最後のアルバム「ダブル・ファンタジー」のタイトルの由来とされている、世界初の八重咲き(ダブル)フリージア「ファンタジー」を探し出すプロジェクト。この花は、1960年にイギリスでジョン・ゴーマンにより育成されたクリームイエローの品種で、すでに市場から消えた「幻の花」だった。2007年、当時さいたま市の「ジョン・レノン・ミュージアム」(10年閉鎖)の副館長だった渡辺正利から依頼を受けた園芸研究家の柳生真吾をリーダーとして、いとうせいこう(クリエイター)、竹下大学(育種家)、山下忠宏(球根生産者)ら有名人や専門家をはじめ、会社員や主婦、幼稚園児まで加わった300人以上の仲間たち(愛称「ファンタジスタ」)が世界中を探し回った結果、ヨーロッパで「ファンタジー」として販売されているものを4種ほど見つけ出した。埼玉県の高成園など数カ所でそれらを栽培したところ、09年春にすべてが開花したが、育成者の子息ボブ・ゴーマンの鑑定によれば、いずれも真の「ファンタジー」ではなかった。そこで今度は目標を、「ジョン・レノンがファンタジーを見たバミューダ植物園を、黄色いフリージアでいっぱいにしよう!」に変え、10年8月、ファンタジーによく似る「フローリアン」の球根2000球を、同園に贈った。さらに3000球の球根を寄付された柳生らは、これらを全国に植えようと計画。同年11月、ファンタジスタを通じて国内の栽培希望者へ配った。