植物の個体を増やすこと。種子繁殖と栄養繁殖および組織培養繁殖の三つの方法に大別される。花を咲かせて種を採る種子繁殖は一・二年草のほとんどで用いられる方法で、個体を容易に大量に増やせる最も基本的な繁殖法である。栄養繁殖は多年草、球根類、花木で行われ、挿し木、接ぎ木、株分け、分球、取り木などの方法がある。挿し木は、茎、葉、根などの器官を切り取り、土壌などに挿して発根させることにより、独立した植物体にして増やす方法である。接ぎ木は、繁殖させようとする植物体の一部を切り取り、別の台木に接着させて組織を癒合(ゆごう)させ、独立した植物体にする方法で、主に花木で利用される。株分けは多年草で用いられる方法で、地下部を分割して増やす方法であり、球根類で行う場合を特に分球と言う。取り木は花木で用いられる方法で、根を出させたい部分の皮をはいで水苔(みずごけ)などで覆ったり、つる性のものでは親木についたまま折り曲げた一部を土中に埋め込み、発根後に切り離して増やす方法である。組織培養繁殖は、無機塩や糖、寒天などからなる人工培地に、植物の一部を切り取って植え付け、無菌状態で培養することにより、クローンを大量に増やす方法である。